AI要約
レーザーポインタを使ってチンダル現象を観察する実験を行いました。以前のウルトラファインバブル(UFB)検出実験では、手作業でレーザーを当てる方法が不安定だったため、今回は異なるアプローチを採用。水中の微粒子によって光が散乱する現象を捉え、視覚的に確認することに成功しました。
やること
前回、ウルトラファインバブル(UFB)(旧ナノバブル)をレーザーポインタで検出できるか試しましたが、円筒形のビーカーに手作業でレーザーを当てる方法では安定した観察ができないことが分かりました。
そこで一旦UFBのことは忘れて、レーザーポインタをまっすぐに当てることができるホルダーを作ることにしました。これを使って(教科書でおなじみの!)チンダル現象を観察してみました。
参考文献
チンダル現象はこちらのサイトで詳しく解説されています。非常に参考にさせていただきました。
ここで用語について注意。(出ました言葉警察)
この手の実験で「コロイド溶液」と「真の溶液」という言葉が出てきますがこれは誤解を招くと思います。
まず、「溶液」の定義は①透明、②どこまでも同じ濃度、③いつまでも同じ濃度(沈殿しない)。溶媒が水であれば「水溶液」。
「コロイド溶液」は濁っているので溶液ではない。「コロイド液」などと呼んでいただきたい。
「真の溶液」は普通に「溶液」で十分。本物は自分で「本物の」とか言わなくていい。
※「貼るホッカイロ」のせいで普通のホッカイロが「貼らないホッカイロ」を名乗らされていることを極めて嘆かわしく思います。
※「見せかけの相関」と同じ匂いがします(cf. 疑似相関という言葉を使うな)
直方体セル
実験用の直方体セルを購入しました。

円筒形のビーカーは散乱なのか屈折なのか反射なのか分からない輝きを放ちましたが、このセルならビシッとまっすぐレーザーが通過するはずです。
特製ホルダー
作りました。まさにこういうときこそ3Dプリントですね!

セルをこう!V字のところにレーザーポインタを置いて光を真横からイン!!

(参考文献)

実験①
左は1%牛乳うすめ水、右は5%食塩水。どちらも質量パーセント濃度(w/w)です。
532nm(緑)

405nm(青)

これぞチンダル!牛乳+水はコロイド液で、塩化ナトリウム+水は水溶液だと分かりました!青よりも緑のレーザーの方がはっきりと見えました。
実験②
牛乳をさらに10分の1に薄めてみましょう。
左は0.1%牛乳うすめ水、右は5%うま味調味料(味の素)水。ちなみに味の素の正体はL-グルタミン酸ナトリウム。

532nm(緑)

405nm(青)

牛乳コロイド液を緑レーザーで見るならこれくらいの濃度がちょうどいいですね。青レーザーでは確認が困難でした。味の素+水は水溶液だと分かりました。
おまけ
ちなみに、「D-グルタミン酸ナトリウム」はないのか?気になったので調べてみたところ、
D体とL体は立体構造が違うため、その味質にも大きな差があります(表1)。グルタミン酸ナトリウムはL体では強いうま味を有しますが、D体ではほぼ無味となっています。
三菱商事ライフサイエンスの「味な話」D-アミノ酸って?https://ajibana.jp/column/671/
はえ~。勉強になりました。今日からL体を崇めます (・ε・`)
おわりに
実験は大成功でした!
画像解析を駆使すれば粒径の測定もできるでしょうか??また挑戦してみたいと思います。