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理論

New!! ウルトラファインバブル(UFB)の検出に挑戦(⑤吸光度編)

AI要約

青色レーザーによる散乱実験に続き、今回は吸光度の違いからウルトラファインバブル(UFB)を検出できるかに挑戦しました。しかし、UFB発生装置の有無による明確な差は見られず、確証には至りませんでした。

やること

前回、青色レーザーポインタの散乱によってウルトラファインバブル(UFB)の存在が確認できることが示唆されました。ただし、通常の水道水にもけっこうUFBが含まれるようで、UFB発生アダプタによって増加したかの差は見られていません。

今回は、差を見るための適切なレーザーの波長を調べるため、分光光度計でUFB水の吸光度を調べてみました

まえおき

前回の検証では、青色レーザー(410nm)によるレイリー散乱が起こっていたと考えられます。この波長に反応するバブルサイズは100~300nmくらいと考えられます。

そして今回調べる「吸光」は、「散乱」とは異なる現象です。UFBが吸光するとは考えにくいので、散乱の結果が吸光度として表れて、波長の参考になるかな?という検証であることにご注意を。

実験装置

分光光度計

HITACHI レシオビーム分光光度計(U-5100)をお借りしました。波長範囲は190~1100nm。お値段90万円。

石英セル(石英キュベット)

通常のガラスセルは紫外領域(350nm未満)を吸収してしまいます。紫外領域の吸光が少ない石英ガラスセルを使用。通称ブラックセル。石英の品質によるらしいがおよそ200~2500nmの測定に対応。お値段4万7,000円。

サンプル一覧

こちらの6種類です。

空気(Air)

セルのみの吸光を確認するため。

蒸留水(DW)

おそらくUFBが含まれていない水。DWマシンから汲んで数日置いたものです。

超純水(MQ)

こちらもおそらくUFBが含まれていない水。超純水製造装置「Milli-Q」から出てきた高級なウォーラー。ただし気泡が含まれていないとは言っていない。汲んでから数日置いたもの。

水道水(Tap)

この世でもっとも勢いが強いと言われる理科室の水道から出てきた水。勢いMaxで採水。10分静置してから使用。

S社UFB水、F社UFB水

水道水を洗濯機用UFB発生アダプタに通した水。勢いMaxで採水。10分静置してから使用。

余談

なんと測定結果はデータで取り出せません。プリンタを繋いで紙で印刷するシステムになっています。2004年製なのでプリンタの端子はパラレル端子・・・。仕方がないので画面を撮影してImageJでグラフ部分を台形補正します・・・。

吸光度(ABS)

まずは吸光度(ABS)。値の範囲は0.0~2.0です。

クリックで拡大

まず空気でも紫外領域に僅かな吸光が見られるのは石英セルの吸収です(cf. アジレント「紫外可視分光光度計の基礎」)。それを考慮するとDWとMQは紫外領域の吸収はなさそうです。しかし、水道水系は紫外領域に大きな吸光が見られます。これについては後で考察します。

970nm付近の吸光は、Wikipediaによると2700nm付近の分子振動の倍音的なものらしい。Wikipediaのグラフと矛盾しません。

出典:Wikipedia「Electromagnetic absorption by water」

参考までに、吸光度と透過率の関係がこちら。

吸光度透過率
0.0100%
0.180%
0.350%
1.010%
2.01%

ということは、水道水系は190nmの光をわずかしか透過しないようです。

透過率(%T)

続いて透過率(%T)モードでも測定してみます。吸光度(ABS)と透過率(%T)はこのように相互変換できるので、要は同じ情報を取っていて2回目の測定ということです。

     \begin{equation*} \begin{split} ABS = 2 - \log_{10}{\% T} \end{split} \end{equation*}

サンプルはすべて新たに採水しました。値の範囲は0~100 [%]です。

クリックで拡大

吸光度とは逆さまな感じになりました。やはり、水道水系は190nmの光を透過させにくいようです。

結局、水道水とUFB水の差は?

水道水系(Tap、S社UFB水、F社UFB水)の吸光度を重ねてみました。

透過率も重ねてみました。

はい、まったく差が分かりません。誤差 of the 誤差

紫外領域の吸光はなに?

水道水系の紫外領域での大きな吸光は、主に塩素(次亜塩素酸:HOCl、ピーク波長237nm)かなと思われます。蒸留水や超純水ではこれが取り除かれていたということです。

HOCl has its highest absorption at 237 nm and a weaker maximum at 289 nm

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10073986/

おわりに

結論。

吸光度測定で「純水」「水道水」の違いは検出できる(塩素

しかし「水道水」「UFB水」の違いは分からない!

なぜなら「散乱」と「吸光」は違うから!吸光ではダメだったね。トホホ

散乱に効果的な波長も分かりませんでした。

大人しく青色レーザーを当てまくってみます・・・

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この記事を書いた人
Yasuda

博士(理学)。専門は免疫細胞、数理モデル、シミュレーション。米国、中国で研究に携わった。遺伝的アルゴリズム信者。物価上昇のため半額弁当とともに絶滅寸前。

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