6/25(水)発売! 『Interface 2025年8月号』は暗号技術特集。第1部第1章を執筆しました☆彡
Raspberry Pi / Arduino

New!! ラズパイで飛行機の中の気圧を測定してみた

AI要約

搭乗中の機内でRaspberry Piによる気圧測定を実施。離陸から着陸までの気圧変化を可視化し、飛行機の与圧システムがどのように機能しているかを探りました。CAさんのコメント付き。

やること

飛行機は高度10,000 m以上を飛んでいますが、機内気圧は「与圧システム」によってマイルドに保たれています。一般的に機内気圧は0.8気圧(標高約2,000 m、富士山5合目)程度とされていますが、本当でしょうか?エンジニアは己が測定した数値しか信じることができない生き物です。

今回は、ラズパイと気圧センサーで飛行機の中の圧力を測定してみました。

機内気圧の測定方法

秋葉原の秋月電子で「Raspberry Pi 4」と「LPS25HB使用 気圧センサーモジュールDIP化キット」を購入。

LPS25HB使用 気圧センサーモジュールDIP化キット: 計測器・センサー・ロガー 秋月電子通商-電子部品・ネット通販
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このセンサーは通常1,120円ですが、2階のアウトレットコーナーに行ってみたら2割引のが売っていました。ラッキーですね。

接続方法とプログラムは、こちらのワッホーさんのサイトを参考にさせていただきました。感謝いたします。

超小型気圧センサーLPS25HBの使い方
LPS25HBから気圧データと温度データを読み取る方法を紹介します。使用するマイコンはRaspberry Pi、プログラム言語はPythonです。動作確認中に通信トラブルがあったので、その原因と対策も...

参照元のコードではプログラムを中断すると書き込みが不完全なまま終わってしまうため、csvファイルに毎秒追記する方式に変更しました。あと、毎秒は多すぎるので2秒毎にしました。

import smbus
import time

#I2C設定
i2c = smbus.SMBus(1)
address = 0x5C

#Lセンサーの設定
i2c.write_byte_data(address, 0x20, 0x90)

#10回繰り返す
for i in range(99999):
    
    #データ読み込み
    pxl = i2c.read_byte_data(address, 0x28)
    pl = i2c.read_byte_data(address, 0x29)
    ph = i2c.read_byte_data(address, 0x2A)
    tl = i2c.read_byte_data(address, 0x2B)
    th = i2c.read_byte_data(address, 0x2C)
    
    #データ変換
    prs = ph << 16 | pl << 8 | pxl
    tmp = th << 8 | tl
    
    #極性判断(温度)
    if tmp >= 32768:
        tmp -= 65536
    
    #物理量に変換
    prs = prs / 4096
    tmp = 42.5 + tmp / 480

    #表示
    print(f'P:{round(prs, 3)} T:{round(tmp, 3)}')
    
    #ファイルオープン(書き込みモード)
    with open("202050807_ANA.csv", "a") as f:
        #データのCSV変換とファイルへの書き込み
        f.write(f'{i},{round(prs, 3)},{round(tmp, 3)}\n')
    
    #一時停止
    time.sleep(2)

乗った飛行機

2025年8月7日(木)

ANA1080 宮古(11:40) – 東京(羽田)(14:30)

機材:ボーイング787-8(ドリームライナー)

出典:ANA「機種・シートマップ

自動運転車開発で沖縄県の多良間村(多良間島)に行っていました。その帰りの便で測定しました。

モバイルバッテリーで起動し、膝に乗せたまま離陸します。

高度と機内気圧を紐づけるため、定期的にフライト情報と気圧をスクショしていきました。

飲み物のサービスが終わった後、CAさんが話しかけてくれました。

あのー、これは 爆弾 何ですか?^^

結果

いよいよ結果を見てみます。

フライト情報の高度と、ラズパイで測定した機内気圧をプロットしました。地上気圧は1,011 hPaからスタート。

FlightAwareというサービスがあり、過去のフライト情報を閲覧できます。この便の情報も公開されており、高度の記録がありました。

先程のグラフにFlightAwareの高度を重ねたものがこちら。

完全に一致しています。高度が補完できました。

このグラフから興味深いことが分かります。離陸時は、離陸直後から機内気圧が下がり、816 hPaよりは下がらないようになっています。着陸時は、高度を下げ始めた時点から機内気圧が上がるのですが、高度4000 m付近ですでに地上気圧に戻りきっています。これは意外でした。

さて、ここで高度から計算した外気圧もプロットしてみます。外気圧Pの計算式はこちら

     \begin{equation*} \begin{split} P =1013.25(1-2.25577 \times 10^{-5} h)^{5.25588} \end{split} \end{equation*}

高度12,500 m(41,000 feet)の外気圧はわずか178 hPa。これが与圧システムによって816 hPaに保たれています。

離陸時、外気圧の変化速度は-360 hPa/分、機内気圧の変化速度は-130 hPa/分。約35%程度のマイルドさになっています。着陸時は外気圧が+310 hPa/分、機内気圧が+110 hPa/分とこちらもだいたい35%くらいのマイルドさに。

おわりに

結論、飛行機の与圧システムは、

気圧の変化速度を外の世界に比べて3分の1程度に和らげ、一定の気圧を下回らないようにする(B787の場合は816 hPa)

別の表現をすると、

高度12,000 mへのフライトを、高度1800 mの山に車で登るくらいマイルドにしてくれている

なお、CAさん(太田さん?間違っていたらすみません)が教えてくれました。

B787は昔の747や777に比べて与圧の性能がかなり良くなったんですよ!

こうやって分野を超えた交流があるのは楽しいですね ( ゚∀ ゚)アリガトウ

あと、この機材はドリームライナーという愛称が付いていて、なんか着陸後に機内の照明をピンクにするイベントがありました。うん、いらないw

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この記事を書いた人
Yasuda

博士(理学)。専門は免疫細胞、数理モデル、シミュレーション。米国、中国で研究に携わった。遺伝的アルゴリズム信者。物価上昇のため半額弁当とともに絶滅寸前。

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