AI要約
このモバイルバッテリーは私のスマホを何回充電できるのか?人類は「mAh」という何の役にも立たない単位を使い、さらにそれに「容量」という誤った名前を付けることで永久に思考を停止しました。
やること
皆さんの言いたいことはわかります。
このモバイルバッテリーは私のスマホを何回充電できるのか?
これが永久にわからない理由は、モバイルバッテリーが2つの欺瞞をはたらいているからです。
- 「mAh」という何の役にも立たない単位を使っていること
- そのmAhに「容量」という誤った名前を付けたこと
そもそも、私たちが「容量」つまり「電池に貯まっているエネルギー」と認識しているものは電力量 [Wh] です。「mAh」は「とある電圧で1時間に流れる電気の量」のことで、「とある電圧」がわからなければクソの役にも立ちません。そして、肝心の電圧は明記されていなかったり、モバイルバッテリーとスマホで電圧が違ったりします。
そうして世界に多くの混乱と誤解がもたらされています。かつてNASAがメートル法で計算した軌道にヤード・ポンド法で火星探査機を送り込んで140億円の宇宙ゴミを生産したように、いまも世界にはmAh難民の悲痛な叫びがこだましています。
そこで今回は、モバイルバッテリーでスマホとノートPCを何回フル充電できるのか、計算方法を備忘録として残します。
計算方法おさらい
まず、モバイルバッテリーの容量(「容量」という名前が付いているが人類はこれに適切な名前を付けられていない)が23800mAhです。

ここからモバイルバッテリーの電力量Whを計算します。内部セルは3.6~3.7Vですがここでは3.7Vを使うことにして、23800×3.7/1000=88.06Wh。記載と一致しています。
何かを充電する前に、このようにモバイルバッテリー側の電力量Whを把握しておきましょう。
スマホを充電する場合
私のスマホ「Galaxy S22」のバッテリーは3700mAhです。

で、ここでいきなり問題が発生します。このバッテリーのセル電圧が不明のためWhが計算不能で、したがって正確な充電回数も計算できません。いや本当に。消費者のことナメてますん?(cv.アインシュタイン稲田)
歩幅を知らないのに「大人の100歩って子どもの何歩だっけ?」を考えているようなものです。
仮に、一般的なスマホのバッテリーと同じ3.7Vとした場合、モバイルバッテリーのセル電圧と同じなのでmAh同士で計算できます。
一般的なモバイルバッテリーの実効効率は60〜70%と言われています。モバイルバッテリー側でセル3.7Vから5.0V出力への昇圧効率が80%。スマホ側で5.0V入力からセル3.7Vへの降圧効率が80%。掛け算した64%が実行効率になります。
よってフル充電できる回数は、23800×0.64÷3700=4.1回と見積もられます。
タネ明かしをすると、このスマホはセル電圧3.85V(闇情報屋から買いました)なので3.9回くらいが正解です。
じゃあ、もしスマホのセル電圧が20Vだったら?その場合は0.76回しか充電できません。もしセル電圧が1Vだったら?その場合は15.2回もフル充電できます。ふざけています。
ノートPCを充電する場合
私のノートPC「Vostro 5320」のバッテリーは54Whから少しヘタって47.16Whです。

今回はWh同士で計算できます。
ここでも実効効率を64%とすると、フル充電できる回数は 88.06×0.64÷47.16=1.2回です。
おわりに
ちなみに、キャンプや防災で使われるポータブル電源界隈はちゃんとWhで語り合っています。
ではなぜモバイルバッテリー界隈だけがmAhとかいうクソみたいな表記を続けるのか。
かつて、ニッケル水素電池が主流だった時代は電圧が一定であることを前提にmAhで比較していたらしい。リチウムイオン電池が登場し、昇圧・降圧が当たり前になった現代でもmAhが自民党の老害たちのように居座り続けているのです。
我々は「いつものmAh」という安心感の中で、永久に思考を停止させられているのです。
