やること
ダイソーの「マジックライトペン」は蛍光塗料で描いた線が紫外線LEDによって蛍光するアイテムです。インクが透明なので文字がとても書きにくいです。
ここで、「LEDの光が青く見えるということは、ピーク波長が紫外領域にないのでは?」と疑問を持った方がいました。
そうですよね。紫外線で励起して青色の蛍光を発するアイテムだと思うので、きちんと紫外線を当てるべきだと思います。今回は異なる波長のUV LEDを用いて、どの波長がよく蛍光させるか調べてみます。
材料
ダイソーと秋月電子で買ってきました。LEDは365, 375, 385, 395 nmの4種類です。
解析ソフトは研究でおなじみのImageJ。バグが多いです。
準備
ペンを分解しました。抵抗器などはなくボタン電池が直列で繋がっているだけでした。この電池をそのまま使うことにします。
UV LEDは混ざらないようにラベルしておきます。紫外線は目にダメージを与えるので絶対に覗き込まないでください。写真にはないですがその辺に転がっていた白色LEDも追加しました。白色LEDも直視するとムスカになるので注意してください。
方法
紙コップにマジックライトペンで適当な模様を描きます。電池とLEDはブレッドボード上で接続します。
5cmの距離からLEDで照らしてスマホで蛍光を撮影します。部屋は暗くし、カメラの露光時間等は統一します。
ImageJで輝度値を取得し、ベース部と蛍光部を比較します。
結果(写真)
電池が消耗しないよう手早く撮影しました。
結果(解析)
輝度値のグラフです。
グラフに線をあてがって大雑把に輝度値を取得しました。
輝度(ベース) | 輝度(蛍光) | 蛍光-ベース | 蛍光/ベース | |
365 nm | 21 | 42 | 21 | 2.0 |
375 nm | 47 | 96 | 49 | 2.0 |
385 nm | 46 | 109 | 63 | 2.4 |
395 nm | 48 | 110 | 62 | 2.3 |
ダイソー | 68 | 127 | 59 | 1.9 |
白色 | 211 | – | – | – |
蛍光を見るにはベース部と蛍光部のコントラスト、すなわち「蛍光/ベース」を重視するのが良いと思いますので、385~395 nm付近をピークに持つLEDが適していると分かりました。先人の指摘通り、デフォルトのLEDはピーク波長がやや長いために「明るいが蛍光コントラストはイマイチ」と言えそうです。
2023/5/12追記:以下の記事では、ダイソーLEDについて「可視光線に近い領域の紫外線を照射するLEDが搭載されている」と述べられていて、本記事と矛盾しない結果が報告されています。
考察・まとめ
この実験は簡易なものですので参考程度にしてください。スマホのカメラが紫外領域をどれくらい捉えられているかは不明で、そのあたりも結果を左右するかもしれません。ネットで調べると赤外領域の撮影についてはいくらか情報がありますが、紫外領域の特性は見当たりませんでした。
紫外線つよつよのLEDは安全性や法律的な理由で製品に使用できないのかもしれません。魔改造は自己責任でお願いします。