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5-25. 【植田まさし式】犯罪者の顔

やること

Twitterに興味深い投稿がありました。マンガ家の植田まさしさんの作品に登場する犯罪者の容姿を研究したというお話です。『コボちゃん』『かりあげクン』など誰もが一度は見たことがありますね。

予備画像

顔と罪名を見ると「あー、たしかに」と納得できる部分があります。容姿で人を疑うのは良くないことですが、大衆漫画での表現上、広く共感が得られるキャラクターを描くことが求められます。これらの容姿的特徴はあくまで作者、植田まさしさんの主観に基づいていると思いますが、ある程度「みんな共感してくれるでしょう?」という意図があるはずです。

この研究の論文があれば読みたいですが見つかりませんでした。どうしても気になったので私も簡単に解析してみました。今回は、植田まさし式「罪名別、犯罪者の容姿的特徴」を抽出してみたいと思います。なおデータサイエンスが目的であり、差別的な意図は含みませんのでご注意を。

顔の抽出

まず、元画像から適当に類似性検出で顔を抽出します。全部で71枚でした。

元画像

検出の様子

使う人いないと思いますが切り抜いた71枚をzipで置いておきますね。

ラベル付け

各画像の「容姿的特徴」と「罪名」をデータ化します。容姿的特徴は簡易的に「髪1(全体)」「髪2(頭頂部)」「目」「装飾」の4分類にしました。単純化のため鼻の違いは無視、1枚しか該当しない特徴も無視しました。罪名は元画像のままです。

このままだと罪名が多すぎるので、単純化のために「窃盗系」「強盗系」「侵入系」「女性系(変態系)」「乗り物系」「所持系」「麻薬系」「詐欺系」で集計したデータを用いることにしました。

結果

Exploratoryでさくっと線形回帰しました。ロジスティック回帰も使えると思います。ここでは単純に容姿的特徴と罪名の正の相関(に近いもの)を解釈していくことにします。

ある罪名について、ある容姿的特徴をもつ人の概ね60%以上が該当していればそれがその犯罪の顔だ、としています。

これが窃盗顔だ

髪1=もみあげ、髪2=とげとげ、装飾=ほうれい線が該当しました。万引き、スリ、食い逃げなどです。中年男性という感じですね。

これが強盗顔だ

髪1=もみあげ、髪2=ハンチング、目=サングラス、装飾=手ぬぐいが該当しました。ひったくり、銀行強盗などです。容姿を隠そうとする心理が表れていますね。

これが侵入顔だ

こちらももみあげ・ハンチング・手ぬぐいが該当しました。空き巣、建造物侵入、金庫破りなどです。物色するためにサングラスはかけないのでしょう。

これが変態顔だ

髪1, 2=丸刈り、装飾=そばかすが該当しました。痴漢、ストーカー、下着泥棒などです。比較的若い印象で、さっぱり系チー牛(?)といったところでしょうか?

これが乗り物犯罪顔だ

髪1, 2=パーマが該当しました。道交法違反、不正乗車、車の不正改造、ハイジャックです。

これが所持顔だ

侵入顔と同じでもみあげ・ハンチング・手ぬぐいが該当しました。罪名は刃物所持、拳銃所持だけです。強盗系と同じになるかと思いましたがサングラスは必須ではないようです。

これが麻薬顔だ

麻薬系の犯罪については有意な特徴が見出されませんでした。

※ラベリングの際、自分がデフォルトと定義した顔が「麻薬所持」だったため解析結果は全体的に麻薬所持が低めに出る傾向にあります。もっとちゃんとやれば特徴が出るかもしれません。私の主観で言えば、麻薬顔はニュートラルに描かれているように感じます。

これが詐欺顔だ

髪2=ピエール、装飾=ピエールひげが該当しました。医療詐欺、オレオレ詐欺などです。いかにも胡散臭い感じですね。

さいごに

顔と犯罪を結びつけるような研究はタブーとされていますが、「漫画家が描く犯罪顔」という観点なら社会科学的意義が認められそうですね。とても興味深い研究だと思いました。

いくつか関連情報を置いておきます。

顔認識だけで犯罪の可能性を“予測”できる? ある論文が波紋を呼んだ理由
顔認識技術で顔を分析するだけで、その人物が犯罪者になりうるか判断できると主張するアルゴリズムが発表された。ところが、研究者たちの批判を浴びたことで、一転して論文の公開は見送られることになった。研究者たちはこうしたアルゴリズムが、誤りであると指摘されている“人種科学”を想起させると危惧している。
人工知能は顔写真を分析してストレートかゲイかを高精度で判別できることが判明
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