2025/2/20追記:「オーバーフロー」と「アンダーフロー」
やること
問題1
マリオカートでは順位が下がるほど良いアイテムが出やすくなる。これを____機構と呼ぶ。
①正のフィードバック
②負のフィードバック
問題2
一度でも授業を欠席すると学習が遅れ、ますます休みがちになってしまう。この____が問題となっている。
①正のフィードバック
②負のフィードバック
正のフィードバックと負のフィードバックの誤用が多いので整理しておきましょう。ついでにいくつかの言葉もまとめておきます。
「比例」と「反比例」
xが増えるとyが減る直線関係を「反比例」と呼ぶ間違いがあります。
上記のような関係は、「負の比例」です。
<用例>
5万円を割り勘しよう。一人当たりの金額は人数に反比例するね。
このクッキーはステルス値上げによって毎年1gずつ縮小しているらしい。年と重量がキレイに比例しているね。(✕反比例)
「正の相関」と「負の相関」
xの増加に伴ってyが減少する関係を「相関が小さい(弱い)」とする間違いがあります。

上記の図を頭に入れておきましょう。
<用例>
大学院生のアルバイト時間と研究の進捗量には強い負の相関がある。
「正のフィードバック」と「負のフィードバック」
これは特に間違いが多いです。
正のフィードバック(ポジティブフィードバック)は、変化が起きるとますます変化が大きくなる方向に力がかかっていることを意味します。値は発散し、システムは不安定になります(爆発する)。
負のフィードバック(ネガティブフィードバック)は、変化が起きるとその変化を打ち消す方向に力がかかっていることを意味します。値はある値に収束し、システムは安定になります。
で、一度減少し始めるとますます減少していく様子を「負のフィードバック」と呼ぶ間違いが多いです。これは変化が負の方向ですが「正のフィードバック」です。
<用例>
ユニクロのヒートテックには汗によって発熱する繊維が使用されているが、これは正のフィードバックなので体温調整に適していない。
このバウムクーヘンの形は正のフィードバックによって形成される。

マリオカートでは順位が下がるほど良いアイテムが出やすくなる負のフィードバックが機能している。(✕正のフィードバック)
一度でも授業を欠席すると学習が遅れ、ますます休みがちになってしまう正のフィードバックが問題となっている。(✕負のフィードバック)
「熱暴走」と「オーバーヒート」
「熱暴走」は半導体の分野で使用される言葉です。半導体は温度上昇によって電気抵抗が下がる性質があります。すると、電流が流れる→温度が上がる→抵抗が下がる→さらに電流が流れる→さらに温度が上がる・・・という止まらない循環に陥ります。これを「熱暴走」と呼びます。まさに正のフィードバックですね。
単なる高温による機能停止は「オーバーヒート」ですのでご注意ください。
<用例>
空冷ファンの性能が足りなかったのでCPUがオーバーヒートしてしまった。(✕熱暴走)
炎天下で撮影を続けていたらカメラがオーバーヒートで停止してしまった。(✕熱暴走)
「オーバーフロー」と「アンダーフロー」
2025/2/20追記
こちらは情報処理やプログラミングで登場する言葉です。例えば「8bitの符号付き整数型」は-128から+127までの28通りの整数を格納できます。ここで127に1を足すと-128になってしまいます。これがオーバーフロー(桁あふれ)です。逆に、-128から1を引いても127になり、これもオーバーフローです。
ポケモンでは65536ダメージが0ダメージになるという話があります。これは「16bitの符号なし整数型」が0〜65535しか表せないために起きるオーバーフローです。
ヨッシーアイランドでは、残機が1のときに2回死ぬと残機が999になるバグがあります。これを「アンダーフロー」と呼ぶ方がいますが正しくは「(負の)オーバーフロー」です。(ちなみに0~999を表す数値型はおそらくないので、1000で割った余りを使っているのだと思います)
ではアンダーフローは何なのかと言うと、1を繰り返し10で割っていくと0.1、0.01、・・・、0.0000000001となり、それ以上細かい桁が保持できなくなると0.0000000000のように0と同じになります。0付近に限らず、とにかく数値型が保持できる限界によって小さい値が失われる現象のことをアンダーフローと呼びます。似た言葉に「丸め誤差」「桁落ち」「打ち切り誤差」もあるのでこれらも調べておくと良いかと思います。
さいごに
誤用警察やってます (* ̄▽ ̄)=====C(/><)/)))) ズリズリ