※本記事は https://nadera.me/ 内の記事を移植したものです。
#01 はじめまして、Naderaです。
私たちは「AIのファッションデザイナー」の誕生を目指して、2018年から原宿にある「Tokyo Fashion technology Lab」というファッションの学校で一つの研究会として活動を開始しました。
「AIのファッションデザイナー」はまだ開発途中ですが、「ファッションの感性分類」ができるようになったんです。その際、学校の先生に「すごい!ビジネスになるよ!」と言われたのを真に受けてNadera合同会社を作りました*1。Naderaは会社名でもあり、まだ見ぬ「AIファッションデザイナー」の名前でもあります。
*1 現在はビネクラに統合されています
この「ファッションの感性分類」とは、あるコーディネートがどんなテイストであるかAIで判定して数値化するというものです。その際、ファッション業界で一般的に使われている8分類をもとに「ソフィスティケート」「エレガント」「ロマンティック」「エスニック」「カントリー」「アクティブ」「マニッシュ」「フューチャリズム」の8つのテイストに分類します。ちなみに、シャツだけ、スカートだけ、といったアイテム単体では正しく判定できません。
Naderaのプレスリリースはこちらです↓
Google Colabでデモプログラムを体験できますので、ぜひやってみてください↓
時々、展示会等で「え?恥ずかしい判定だったらどうしよう!」という反応をする方もいますが、大丈夫です!あなたのコーディネートの「オシャレ度」を判定するわけではありません。食べ物に例えるなら、果物の種類を判定しているだけで、美味しいかどうかではない、ということです。ですので安心して使ってみてください。
もしかすると、Naderaが変な判定をするかもしれません。その時はあなたが思う判定を教えてくれたら嬉しいです。Naderaはまだまだ勉強中なので、皆さんからのフィードバックで少しずつ賢くなります。
ところで、この「オシャレ」かどうかって、実は難しい問題だと思いませんか?誰がどうやって決めるんでしょうか?そもそも、決められることなのでしょうか?流行の服を組み合わせたら「オシャレ」なんでしょうか?実は、「AIのファッションデザイナー」を作ろうと思った原点は、そんなところにあったりもします。他にも色んな想いが詰まっているので、少しずつお話ししていきたいと思っています。
#02 ファッション業界の8分類とNadera
Naderaはファッション業界で広く使われている8分類をベースにした「ファッションの感性分類」が出来るのですが、その8つのテイストを紹介します。
①「ソフィスティケート」
洗練された都会的なコーディネートが該当します。大人っぽく、少々クールな印象があります。
②「エレガント」
ソフィスティケートと同様に洗練の要素もありますが、柔らかさや優しさが加わった優雅さを感じるコーディネートです。
③「ロマンティック」
柔らかさに加え、甘く可愛らしいく、少し素朴な要素も感じる、夢見る少女のイメージです。ピンクだったり、裾が広がったスカートなんかが該当します。
④「エスニック」
素朴で、受け継がれてきた伝統的な趣を感じるコーディネートです。チェック柄が該当します。
⑤「カントリー」
素朴であり、大自然を感じるような野趣的な、草原を走り抜けるような、時に活動的な印象もあるコーディネートです。「このままに西部劇の町で座ってても大丈夫そうなイメージ」と言う人もいます。
⑥「アクティブ」
明るく活動的で機能的なコーディネートです。ビビッドな色のスポーツウェアも該当します。
⑦「マニッシュ」
男性的で少々カチッとした印象のコーディネートです。黒やパンツスタイルが該当します。
⑧「フューチャリズム」
これはNaderaならではテイストです。通常のファッション業界での分類では「モダン(現代的な)」が使わます。モダンは言葉の通り「今っぽい」ファッションを指しますが、つまり「今」と共に変化し続けます。そのため定義として曖昧です。そこでNaderaでは「今」より先の「フューチャリズム(未来っぽい)」を採用しました。未来の世界や、宇宙人が着ていそうな、SF映画に出てきそうなコーディネートです。コレクションに登場する奇抜な衣装もここに該当します。頭が通常より大きい等(大きな帽子やヘルメット着用など)、シルエットに特徴があるコーディネートの場合、ここに分類されることが多いです。
こうした8分類は、以下のようにグラフで表現されることも多いです。画像はNaderaでの判定例です。
このように表現する場合、「ソフィスティケート」の逆に「カントリー」が、「ロマンティック」の反対側に「マニッシュ」がきます。確かに相反するテイストのようにも感じるのですが、必ずしもそうでもないのがファッションの面白いところです。優雅(エレガント)なスポーツウェア(アクティブ)も存在します。必ずしも、逆側のテイストとは相反しないのです。
また隣り合うテイストが似た要素を持っています。そのため一つのコーディネートが一つのテイストに分類されるわけでなく(もちろんそういう場合もありますが)、複数のテイストにまたがることのほうが多いです。
Naderaでの判定は基本的にはこのような慣習にのっとっています。
おわりに
ディープラーニングを使った人工知能の場合、判断の根拠は人には解釈できないのですが(画像を高次元に変換して判断している)、分からないなりにもツールを使って可視化すると、形(シルエット)、色、模様などが影響していることが分かります。服の判定なので、当たり前といえば当たり前かもしれませんが、人が判断するのと根本は違わないことがわかっています。