AI要約
3DプリンタでQRコードを1層だけプリントし、それを布にアイロンワッペンとして転写する実験を行いました。オリジナルのデザインを布に貼り付けられるこの方法は、アートや自由研究にも活用できます。QRコードの仕組みについても解説し、独自の工夫を行っています。
やること
とても興味深いツイートを見かけました。3Dプリンタで1層だけプリントしたイラストをアイロンで布に接着したというのです。

これは素晴らしいアイデアですね!オリジナルのでアイロンワッペン(アップリケ)が作れます。
今回はこれを参考にして、QRコードを布にアイロンワッペンしてみました。しかしQRコードを3Dプリントしようとすると困ったことが起きるので、QRコードの仕組みから勉強してこれを克服していきます。
参考文献
QRコードの仕組みについてはこちらのサイトをご参照ください。

QRコードの3Dプリントの問題点
さて、QRコードを3Dプリントしたいのですが、これ実は簡単ではありません。
試しに「https://vigne-cla.com/a021/」を適当なブラウザサービスでQRコード化してみます。

誤り訂正レベルがHigh(30%復元能力)ではセルが多くてプリントがしんどいので、Low(7%復元能力)まで落としてみます。

QRコードは白黒反転していても読み取れるので、黒部分をプリントするか、白部分をプリントするか考えます。おそらく余白も一緒にして白をプリントするのがいいでしょう。
ところがこれをそのままプリントすると困ったことが起きます。持ち上げるとバラバラに分解してしまうのです。
QRコードの画像処理
この問題を解決していきます。
実は、QRコード生成の最終工程で使われるマスクパターンは8種類から任意で指定することができます。通常は自動的に最適なマスクが使用されています。
8種類のマスクパターンを指定して作成するのはこちらのサイトから試せます。
マスク0~7で生成したものがこちら。(さっきのと一致するものがないのは気にしないでください)

ここで、余白から隣接する白マスを取り除いたものがこちら。斜めに点で接している部分も隣接していることにしています。要は、離れ小島を残した状態です。

これを見ると、マスク0番と6番がもっとも離れ小島が少ないことがわかります。以降はマスク0番を採用することにします。
4つの白い四角は位置・角度・歪みの認識に使用されます。その仕組みを考慮すると、大陸とくっつけるならこのようにするのが良いと思います。

さらに、斜めに隣接する白マスを僅かにくっつけます。よ~く見るとわかります。


このようにしてデータが完成しました。この時点でスマホでちゃんと読み込めることを確認しておきましょう。
3Dプリントとアイロンがけ
PLAでプリントしました。ちょっと粗かったかな?

持ち上げてもバラバラになりません。

布にアイロンで接着しました。表面に乗る感じになりました。


読み込みは少し際どいですが、きちんと認識できました。読み込めない場合はスマホを少し左右に傾けるといける場合があります。
先人はTPU+帆布でうまいこと染み込んでいましたが、今回の組み合わせでは染み込むまで温度を上げると滲んで潰れてしまいました。素材と温度は要研究ですね。
おわりに
手間はかかりますが、展示会でロゴ入りのトートバッグとかを配布するのにいいですね。業者に発注するとロットが大きくなってしまうと思います。
ご要望があれば100枚くらい生産しますので!