12/9(月) 応用科学学会シンポジウムで自動運転に関する講演を担当します☆彡

26-26. JALでは搭乗から降機までシートベルトを外して良いタイミングは存在しない

問題

問題です。

飛行機に乗っているとき、シートベルトを外して良いタイミングはいつでしょうか?

シートベルト着用サインが消えている間?トイレに行くタイミング?

いいえ、違います。

各航空会社のシートベルト着用ルールを見てみましょう。

各航空会社のシートベルト着用ルール

各航空会社のサイトから、シートベルト着脱のタイミングに関する記述を抜粋しました。以下、「シートベルト着用サイン」を単に「サイン」と呼ぶことにします。

JAL

シートベルトは常に着用をお願いします

離着陸時
シートベルトは、腰の低い位置でしっかりとお締めください。

航行中
シートベルト着用サインがついていなくても、突然の揺れに備えて常にシートベルトをお締めください。

着陸後
シートベルト着用サインが消えるまで着席のままお待ちください。

https://www.jal.com/ja/safety/request_flight/seatbelt.html

まずJALですが、搭乗から降機まで、シートベルトを外して良いタイミングは存在しません。念のためChatGPTに聞いてみましたが、離着陸時の「お締めください」と航行中の「お締めください」の強弱が同等であり、一方を「義務」、他方を「お願い」と解釈するのは無理があるとのことです。

ANA

搭乗後は手荷物を収納し、着席およびシートベルト着用をお願いします。

ベルト着用サイン点灯中ならびにお座りの間は、常にシートベルトをお締めください。

https://www.ana.co.jp/ja/us/travel-information/safety-information/

ANAはまともです。シートベルト着用は基本的に「お願い」であり、場面を限定して「義務」としています。シートベルトを外して良いタイミングが理解できます。

AIRDO

出発に際し
所定の座席にお座りになり、シートベルトをお締めください。

シートベルト着用サイン点灯中
急な揺れに備え、座席では常時シートベルトをお締めください。シートベルト着用サイン点灯中は揺れが予想されるため、座席をお立ちにならないようお願いします。化粧室の使用はシートベルト着用サイン消灯中にお願いします。

https://www.airdo.jp/departure/safety/safe-operation/

AIRDOは、サイン消灯中かつトイレに行くとき限定でシートベルトを外しても良いと解釈できます。

スターフライヤー

お客様の安全のため、シートベルトは常にお締めください。

離着陸時
腰骨の位置で緩み、ねじれがないようにお締めください。

飛行中
シートベルト着用サイン消灯中も、予期できない突然の揺れに備えてシートベルトは常にお締めください。

離着陸前後の地上走行中
シートベルト着用サインが消えるまで座席にお座りのままお待ちください。すべてのお客様が着席され、シートベルトをお締めになっていることを確認のうえ、出発いたします。

https://www.starflyer.jp/checkin/attention/

スターフライヤーはJALよりも強い表現です。搭乗から降機まで、シートベルトを外して良いタイミングは存在しません。なお、離着陸時→飛行中→着陸後→離陸前という理解に苦しむ順序で書かれています。

また、機内安全ビデオに登場するスターフライヤーマンは、「ご質問がありましたら私スターフライヤーマンまたは客室乗務員にいつでもお尋ねください」と言いながら5秒後にはどこかへ飛んでいくので、尋ねることができません。客を舐めすぎです。

スカイマーク

機内では安全のためシートベルトを必ず着用するようにお願いしております。

離着陸時
シートベルトは腰の低い位置で、ねじれや緩みがないようにしっかりとお締めください。

飛行中
シートベルト着用サイン消灯中も、突然の揺れに備え、常にシートベルトをお締めください。

着陸後
飛行機が駐機場に入り、シートベルト着用サインが消灯するまでは、シートベルトをしっかりとお締めください。

搭乗から離陸まで
着席後は、シートベルトをお締め下さい。

https://www.skymark.co.jp/ja/attention/seatbelt.html

スカイマークはJALと同等です。搭乗から降機まで、シートベルトを外して良いタイミングは存在しません。この会社も、離着陸時→飛行中→着陸後→離陸前というバカ丸出しの順序で書かれています。

ジェットスター

搭乗時
手荷物の収納を終え次第、速やかに指定された座席に着席し、シートベルトの着用をお願いします。

機内にて
離着陸時だけでなく、飛行中も予期せぬ気流の変化に備え、常にシートベルトは腰の低い位置で、ねじれ、緩みのないようお締めください。

到着後
着用サインが消えるまでシートベルトを外さずにお座りのままお待ちください。

https://www.jetstar.com/jp/ja/help/articles/boarding

はい、ジェットスターも、搭乗から降機まで、シートベルトを外して良いタイミングは存在しません。なおここのサイトは段落構成がめちゃくちゃで非常に読み取りにくいです。「搭乗時」「緊急脱出時」「到着後」がh2なのに「離着陸時」はh3です。

ピーチ

座席ベルト常時着用のお願い
座席ベルトは着用サインが消えた状態でも、急な揺れに備え、着席中は座席ベルトを常にお締めください。

https://www.flypeach.com/lm/ai/inflights/security

ピーチはANAのように基本的に「お願い」、場面限定で「義務」としています。

ソラシドエア

Question 1
飛行中、シートベルト着用のサインが消えていればシートベルトを着用する必要がない

Answer

シートベルト着用サイン点灯の有無にかかわらず、突然の揺れに備え、座席にお座りの間は常にシートベルトをお締めください

https://youtu.be/rIfU_w83g5E?si=HgNueGmH5GTB0_eT&t=35

ソラシドエアは自動車教習所みたいなクソ問題を出してきます。実はこれ、解釈がかなり難しいです。

解釈A:通常の日本語としての解釈

まず、Questionに対する解答が✕のため、「飛行中、サインが消えていたとしても着用する必要がある」が真です。すると、「サイン点灯→着用は必要(※自明)」「サイン消灯→着用は必要」となり、まとめると「サインの有無にかかわらず着用は必要」となります。この解釈においては、Answer中の「座席にお座りの間は」という表記は意味をなしません。

解釈B:自動車教習所としての解釈

教習所の◯✕問題のルールはこちらの記事をご参照ください。

「~という表記が教科書中に存在するか?」を答えるゲームです。◯✕とその後の解説文はリンクしていないことに注意しましょう。まず解が✕というのは、そんなルールは記載されていません、という意味です。そして、教科書中の正しい表記は「シートベルト着用サイン点灯の有無にかかわらず、突然の揺れに備え、座席にお座りの間は常にシートベルトをお締めください」であると言っています。ですので、座席に座っていないときは締める必要がないと解釈できます。

で、結局どっちの解釈でいくの?

かなり微妙ですが、おそらく解釈Bを取るべきでしょう。やはり「座席にお座りの間は」は意味のある文章とみなさざるを得ません。よってソラシドエアも、サイン消灯かつ離席中はシートベルトを締める必要はありません。

結論

JAL、スターフライヤー、スカイマーク、ジェットスターの4社は、搭乗してから飛行機を降りるときまで、シートベルトを外して良いタイミングは存在しません。(いや、皆さんの言いたいことは分かりますよ?でも離席の可否については一切記述がないんですからしょうがないですよ)

トイレに行く際は「あ、自分は航空会社のルールを破ってまでトイレに行かなくてはならない劣等生物なんだ」「いつつまみ出されても仕方がないぞ」という意識を持ちましょう。

こんなに分かりにくくなっている原因はサインの設計ミスです。「シートベルト着用サイン」ではなく「着席サイン」とすべきなのです。そうすれば「着席時は常に締めろ」「サイン点灯中は必ず着席」という2つのルールだけで済んだのです。

なお、スターフライヤー、スカイマーク、ジェットスターはもっと日本語の勉強をしてください。

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この記事を書いた人

博士(理学)。専門は免疫細胞、数理モデル、シミュレーション。米国、中国で研究に携わった。遺伝的アルゴリズム信者。物価上昇のため半額弁当とともに絶滅寸前。

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