はじめに
自作PCユーザーからの信頼あつあつのCorsair(コルセア)電源。ラインナップ豊富、コスパ高し、モジュラーケーブルでケース内スッキリと至れり尽くせりのメーカーです。
ただ、Corsair電源をいくつも使っているとモジュラーケーブル(以下ケーブル)が混ざってしまうこともあります。一部のケーブルには互換性があるという情報もあって、意図的に流用することもあるかもしれません。
そこで互換性を検索するのでが、これがいつ調べても分からない。
何回調べても分からない(ガチ)
ということで備忘録として、Corsair電源のモジュラーケーブル互換性(の調べ方)をまとめてみました。なお本記事を参考にしたことによってPCが焼けたり家が火事になったりしても一切責任を負いません。
電源ケーブルの種類
PCに供給する電源ケーブルには次のものがあります。
マザボ(24pin ATX)
マザボの電源。マザボに挿す一番デカいやつ。20+4pinという形だが20pinだけで使ったことないので24pinとして覚えておけばOK。
CPU(EPS12V)
CPUの電源。CPUのそばに挿す4pinまたは8pinのやつ。弱いPCだと4pin。強いPCだと8pin。さらに上位のPCだと8pin&4pinとか8pin&8pinになるようです。
ケーブルはだいたい4+4pinになっており4pinにも8pinにも対応できるようになっている。
PCIe
グラボの電源。そもそもグラボからGPUに対して75Wを供給できる。それ以上はこの補助原電から供給する。6pinは75W追加、8pinは150W追加できる。
したがって弱いグラボから順に次のように計算できる。
- 補助電源なし 75W未満
- 6pin 150W未満
- 8pin 225W未満
- 6pin+6pin 225W未満
- 8pin+6pin 300W未満
- 8pin+8pin 375W未満
ケーブルはだいたい6+2pinになっており6pinにも8pinにも対応できるようになっている。1本のケーブルにそれが1セット付いているものと2セット付いているものがあるので、8pin+8pinのグラボ1枚とか8pinのグラボ2枚の場合は2セット付いている方が配線がスッキリして良き。
SATA
HDDやSSDの電源。L字のコネクタがクリスマス電飾のように3~4個付いている。
PATA(ペリフェラル)
ケースファンの電源。4つ目のやつ。小型のPCだとケースファンもマザボから取れるので使わない場合あり。固すぎて何個も抜いてると手がボロボロになる。
参照すべきリンク
まずはCorsair公式の対応表(その1)。あーなるほど、Type3とType4ってのを見極めれば良いんだね、ということが分かります。
続いてCorsair公式の対応表(その2)。さっきと表記方法が違うところがあるので混乱し始めます。まあでもだいたい同じことが書いてある感じ。
これらの混乱を解決するヒントがredditに投稿されています。
つまり、Type3とType4の違いは24pin ATXのみであり他のケーブルは共通ですよ、と書かれている(まあ保証はしないんだろうけど)というのである。
それを踏まえて前の2つのリンクを見ると、例えばHX1200とHX1200iは
Type4 | Type3 | |
HX1200 (PLATINUM) | 全対応 | 24pin ATX以外は対応 |
HX1200i (PLATINUM) | (記載なし) | 全対応 |
となっており、まずそもそも似たような名前の製品を出すなよ!っていう話と、そいつらのケーブル規格が違うのは罠だろ!っていう文句を言い始めると話が進まないので置いておいて、
この(記載なし)という部分がおそらく「24pin ATX以外は対応」なんだと推測されます(もちろん保証しない)。この仮説が正しいとすれば、発売時期のせいで上位互換性の観点でしか記載されていないことが混乱の原因の一つなわけです。(おまけ:自称日本一わかりやすい「上位互換」「下位互換」の誤用と使い方)
第2段階へ行く前の事前知識
これ以降、24pin ATXを「24pin」と呼び、その他のEPS12V, PCIe, SATA, PATAを「その他」と呼ぶことにします。
Type3のピンアサイン
Type4のピンアサイン
それぞれ下半分の電圧のアサインを見比べてほしいのだが、まず「24pin」はまったく違うので混ぜるな危険であることは明白。
一方、EPS12V, SATA, PATAはまったく同じで互換性がありそうだ。
問題はPCIeで、微妙に違うのだが互換性がありそうな気配もする。先の「Type4とType3の違いは24pin ATXのみであり他のケーブルは共通ですよ」が本当だとすると、このPCIeも互換性があるべきである(ないと成立しない)。互換性ありそうですね、ということで話を進めていくが本当だろうか?詳しい人教えてください。
で、不明のケーブルが使えるか分かるの?
謎のケーブルが落ちていたとします。このケーブルはどの電源に付属していたものか?どの電源で使えるか?を知りたいわけです。すでに挿さっているケーブルの刻印に合わせれば間違いないですが。
「Type3」「Type4」
まず「Type3」「Type4」と書かれたケーブルは公式の対応表に記載があるのでおそらく大丈夫。
「650/750/850AX only」
公式対応表の「AX GOLD」に該当するものと思われる。対応表を見るとこれらは特殊なようなので他と混ぜないことを意識すれば良い。混乱はしないだろう。
「TXM/HX/AXi only」「AX1200/AXi only」
ここからが深淵の始まり。「TXM/HX/AXi only」と書かれたケーブル。これは「その他」に刻印されています。公式の対応表を見ると「24pin」に関してはHX (PLATIMUN)がType4指定、HX (GOLD)がType3指定、AX1600iがType4指定、それ以外AXiがType3指定となっていてどっちなの?と思いますが、先の「他のケーブルは共通ですよ」が本当だとしたら「その他」はどっちでも良いということで納得できます。刻印通りに使用できる。それどころか他のType3/4電源の「その他」にも使える可能性がある(あくまで可能性)。
それを裏付けるかのように「24pin」だけは「AX1200/AXi only」と刻印されていて、これは上記の「それ以外AXi」に該当するものでType3を意味し、たしかにType4を排除している。邪推すれば同じくType3であるHX (GOLD)にも使える可能性があるが、「24pin」はピンアサインがヤバそうなのでこれは避けたほうが良い。刻印通りの製品に使用するのが安全。
「34-0」
何すかこれ??こういうのやめてほしいんですよね。ケーブルを混ぜちゃってるこっちが悪いんですけどね。
「Corsair 34-0」で検索してみるとebayの商品でType4対応という記載が見つかる。本当にType4対応だろうか?
手元の本家Type4とピンアサインを見比べると異なっている(写真省略)。が、電圧のアサインの都合で実は互換性あります、ということもあり得る。元気があれば調査・実験してもいいが正直やる気が起きない。。どうしてもやってほしい人は菓子折りを送ってください。
「SATA」「PATA」
なにこれ珍百景。完全にお手上げです。これ電源本体に挿す側の刻印です。もしかしたらCorsair製品じゃないのかもしれない。混ぜちゃったこっちが悪いんですが。
まとめ
結局、大量に散らばっているケーブルをどう使っていくかを考えると、大方針として「Type3」「Type4」を温存するのが効率的かと考えています。
優先
「TXM/HX/AXi only」「AX1200/AXi only」のように製品指定されているものをその製品で使う。
劣後
最終手段として公式対応表を元に「Type3」「Type4」を使用していく。
なお、「34-0」はマジで謎なので壊れても良いPCで検証すべきである。そして本記事ではRM/RMiシリーズ、CXシリーズなんかは扱わなかったためこれらも含めるともっと混乱するかもしれない。でも大雑把にはここで説明したように整理していくと良いのかなと思っています。
2024/05/04追記
「34-0」は少なくとも「HX1200」の付属品であることは確認できた(HX1200iではないので注意)。よって公式対応表よりType4寄りであることも確定。また一つ謎が解明された。