やること
昔、楚の国の人でミュラーリヤー錯視とフィック錯視を売る者がいた。
この人はミュラーリヤー錯視を誉めて「横線の長さは同じだが、Y字になっている方が長く見える」と言った。
また、フィック錯視を誉めて「これも2本の長さは同じだが、縦線の方が長く見える」と言った。
それを聞いていたある人が「で、じゃあそれを合体したらどっちが長く見えるのかって話なんですよね?なんかそういうデータあるんですか?それってあなたの感想ですよね?」とまくし立てた。
商人は答えることができなかった。
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そこで一つの疑問が生まれました。
ミュラーリヤー錯視とフィック錯視のどちらが強いのか?
つまりこう並べたとき、どちらが長く見えるのか??
ミュラーリヤーが勝つなら下の線が長く見えるはず…!フィックが勝つなら上の線が長く見えるはず…!
今世紀最大の矛楯(ほこ×たて)がいま幕を開ける・・・!!!!デーンデーンデーンデーンボンボン
アンケート方法
ミュラーリヤー、フィック、複合の3タイプの錯視画像を、線の長さの比率を変えて各7枚ずつ生成しました。これら合計21枚をランダムな順序で被験者に提示し、「上の線の方が長い」「同じ長さ」「下の線の方が長い」の3択で回答していただきました。
アンケートはこちらです。16名の方が回答してくださいました。集計は終わりましたが、引き続き回答してくださる方がいれば何ヶ月後かに結果をアップデートしたいと思います。
ミュラーリヤー錯視
フィック錯視
ミュラーリヤー錯視+フィック錯視
※アンケートに用いた画像にはrateは記載されていません(答えなので)
※アンケートでは前後の問題と見比べることを防ぐために図形の中心をランダムにずらしてあります
ちなみに比較するのはこの赤線の部分です。
ミュラーリヤー錯視の結果
まずはミュラーリヤー錯視の結果です。
青線と赤線が0.89付近でクロスしています。つまりここが「上の線の方が長い」と「下の線の方が長い」が同数になるポイント。「同じだと思う」のピークがこの付近であることもこの解釈を支持しています。
rate=0.89 と rate=1.0 の画像を置いておきます。(rate=0.89はアンケートにはなく、新規作成)
何度見ても納得いかないですねぇ (。´-﹏-)
フィック錯視の結果
続いてフィック錯視の結果です。
とんでもないことが起きています。実は予備検証の段階で「1.0よりかなり大きい方に寄りそう」と予測されたので、中心を大きく右側にずらして問題を生成していました。ところがアンケートの結果、それでもまだクロスポイントに届いていませんでした(は?)。すごすぎるだろフィック錯視!だいたいクロスポイントは1.27付近かなと思います。「同じだと思う」もこのあたりがピークになっています。
ということで画像を置いておきます。(rate=1.27はアンケートにはなく、新規作成)
これはフィック錯視の圧勝か・・・!? d(゚∀゚d)
ミュラーリヤー錯視 vs フィック錯視
いよいよ【ほこ×たて】の結果です。刮目!
はい。なんとほぼ引き分けでした! Σ(゚∀゚ノ)ノ
クロスポイントは1.01付近ですがまあ誤差でしょう。1.0と言っても問題ありません。「同じだと思う」もここがピークになっています。
いやはや、フィックの圧勝かと思われましたが、ミュラーリヤーも勝負になると強いんですね。素晴らしい対決でした・・・!握手! ( ・∀・)人(・∀・ )
おわりに
今年一番ワクワクした検証でした。協力してくださった皆様、本当にありがとうございました。このワクワクをお届けできていたら嬉しいです。
他にも検証してほしいことがあればSlackやDiscordで遠慮なくメッセージをください。See you!!