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21-1. 数式を使わずにD-waveマシンの使い方を学ぶ

やること

量子コンピュータの使い方を検索すると、だいたい数式ばかり出てきて憤死します。Σ←これが出てくるとだいたいアウトです。今日は数式を使わずにD-waveの基本的な使い方を学んでみます。

目標は「n個の量子ビットの中からm個を1にする」ができるようになることです。たぶんこれができればOKなはず。

イジングとかハミルトニアンとかキューボとかそういった外国語は使いません(使えません)。

実行環境

D-wave leapに登録すると月に1分間だけ実機での計算時間がもらえます。tokenが手に入るので、コード中の「#D-waveの設定」のところに記述します。

コードの中で、solver=’c4-sw_sample’ を指定するとD-waveに内蔵されたシミュレータで実行します。solver=’DW_2000Q_2_1′ を指定するとD-wave実機で実行されます。(シミュレータでも1分間を消費するのでしょうか?)

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pip

必要なパッケージをインストールしておきます。

pip install pyqubo
pip install dwave-ocean-sdk

4つの量子ビットの中から2つを1にする

能書きはさておき、答えです。ここでは「4つの量子ビットの中から2つを1にする」をしています。

from pyqubo import Binary
from dwave.system.composites import EmbeddingComposite
from dwave.system.samplers import DWaveSampler

#量子ビットを4つ用意する
q0, q1, q2, q3  = Binary('q0'), Binary('q1'), Binary('q2'), Binary('q3')

#条件を記述する
H = (q0 + q1 + q2 + q3 - 2)**2

#コンパイル
model = H.compile()
qubo, offset = model.to_qubo()
print('qubo\n{}'.format(qubo))

#D-waveの設定
D_OBJECT = EmbeddingComposite(DWaveSampler(endpoint='https://cloud.dwavesys.com/sapi',
                                           token='your_token',
                                           solver='c4-sw_sample')) #ここではシミュレータを指定

#サンプリングしまくる
response = D_OBJECT.sample_qubo(qubo, num_reads=1000)

#レスポンスの確認
print('response')
for (sample, energy, occurrence, _) in response.data():
    print('Sample:{} Energy:{} Occurrence:{}'.format(list(sample.values()), energy, occurrence))
qubo
{('q0', 'q1'): 2.0, ('q0', 'q2'): 2.0, ('q0', 'q3'): 2.0, ('q1', 'q2'): 2.0, ('q1', 'q3'): 2.0, ('q2', 'q3'): 2.0, ('q0', 'q0'): -3.0, ('q1', 'q1'): -3.0, ('q2', 'q2'): -3.0, ('q3', 'q3'): -3.0}
response
Sample:[1, 0, 1, 0] Energy:-4.0 Occurrence:133
Sample:[0, 1, 1, 0] Energy:-4.0 Occurrence:1
Sample:[0, 0, 1, 1] Energy:-4.0 Occurrence:1
Sample:[1, 1, 0, 0] Energy:-4.0 Occurrence:1
Sample:[0, 1, 0, 1] Energy:-4.0 Occurrence:147
Sample:[0, 1, 0, 1] Energy:-4.0 Occurrence:1
Sample:[1, 1, 0, 0] Energy:-4.0 Occurrence:178
Sample:[1, 0, 0, 1] Energy:-4.0 Occurrence:147
Sample:[0, 0, 1, 1] Energy:-4.0 Occurrence:157
Sample:[0, 1, 1, 0] Energy:-4.0 Occurrence:154
Sample:[0, 1, 1, 1] Energy:-3.0 Occurrence:1
Sample:[0, 1, 1, 1] Energy:-3.0 Occurrence:3
Sample:[1, 1, 0, 1] Energy:-3.0 Occurrence:1
Sample:[1, 1, 0, 1] Energy:-3.0 Occurrence:5
Sample:[1, 0, 0, 0] Energy:-3.0 Occurrence:12
Sample:[1, 1, 0, 1] Energy:-3.0 Occurrence:7
Sample:[1, 1, 0, 1] Energy:-3.0 Occurrence:1
Sample:[0, 1, 0, 0] Energy:-3.0 Occurrence:12
Sample:[1, 0, 1, 1] Energy:-3.0 Occurrence:6
Sample:[0, 0, 0, 1] Energy:-3.0 Occurrence:12
Sample:[0, 0, 1, 0] Energy:-3.0 Occurrence:5
Sample:[0, 1, 1, 1] Energy:-3.0 Occurrence:5
Sample:[1, 1, 1, 0] Energy:-3.0 Occurrence:10

Occurrence が高い解が6個あり、よく見ると「4個の量子ビットの中から2つを1にする」ができています。6個出てきたのは 4C2=6 であることからも納得できます。

同様に「4個の量子ビットの中から3つを1にする」を行うには

#条件を記述する
H = (q0 + q1 + q2 + q3 - 3)**2

に書き換えます。

qubo
{('q0', 'q1'): 2.0, ('q0', 'q2'): 2.0, ('q0', 'q3'): 2.0, ('q1', 'q2'): 2.0, ('q1', 'q3'): 2.0, ('q2', 'q3'): 2.0, ('q0', 'q0'): -5.0, ('q1', 'q1'): -5.0, ('q2', 'q2'): -5.0, ('q3', 'q3'): -5.0}
response
Sample:[1, 1, 0, 1] Energy:-9.0 Occurrence:227
Sample:[0, 1, 1, 1] Energy:-9.0 Occurrence:220
Sample:[1, 0, 1, 1] Energy:-9.0 Occurrence:233
Sample:[1, 1, 1, 0] Energy:-9.0 Occurrence:232
Sample:[1, 0, 1, 1] Energy:-9.0 Occurrence:4
Sample:[1, 0, 1, 1] Energy:-9.0 Occurrence:5
Sample:[1, 1, 1, 0] Energy:-9.0 Occurrence:2
Sample:[1, 1, 1, 0] Energy:-9.0 Occurrence:2
Sample:[0, 1, 0, 1] Energy:-8.0 Occurrence:17
Sample:[1, 0, 0, 1] Energy:-8.0 Occurrence:12
Sample:[1, 1, 0, 0] Energy:-8.0 Occurrence:4
Sample:[0, 0, 1, 1] Energy:-8.0 Occurrence:12
Sample:[0, 1, 1, 0] Energy:-8.0 Occurrence:8
Sample:[1, 0, 1, 0] Energy:-8.0 Occurrence:8
Sample:[1, 1, 1, 1] Energy:-8.0 Occurrence:14

4個出ました。4C3=4 ですから納得です。

だいたいパターンが分かってきました。

とにかく、解きたい問題を「n個の量子ビットの中からm個を1にする」に帰着できれば、D-waveが適用できるのかなと思います。

4つの量子ビットの中から1つまたは2つを1にする

「4つの量子ビットの中から1つまたは2つを1にする」にはどうしたらよいでしょうか。

#条件を記述する
H = (q0 + q1 + q2 + q3 - 1.5)**2

1と2の中間ということで1.5を引いてみます。こうすると、q0 + q1 + q2 + q3 が1であっても2であっても、どちらも H=0.25(最小値)となります。

qubo
{('q0', 'q1'): 2.0, ('q0', 'q2'): 2.0, ('q0', 'q3'): 2.0, ('q1', 'q2'): 2.0, ('q1', 'q3'): 2.0, ('q2', 'q3'): 2.0, ('q0', 'q0'): -2.0, ('q1', 'q1'): -2.0, ('q2', 'q2'): -2.0, ('q3', 'q3'): -2.0}
response
Sample:[0, 0, 1, 0] Energy:-2.0 Occurrence:109
Sample:[0, 1, 0, 0] Energy:-2.0 Occurrence:98
Sample:[0, 1, 1, 0] Energy:-2.0 Occurrence:80
Sample:[1, 0, 0, 0] Energy:-2.0 Occurrence:97
Sample:[1, 0, 1, 0] Energy:-2.0 Occurrence:103
Sample:[1, 1, 0, 0] Energy:-2.0 Occurrence:89
Sample:[0, 0, 0, 1] Energy:-2.0 Occurrence:105
Sample:[0, 0, 1, 1] Energy:-2.0 Occurrence:96
Sample:[0, 1, 0, 1] Energy:-2.0 Occurrence:108
Sample:[1, 0, 0, 1] Energy:-2.0 Occurrence:90
Sample:[1, 0, 1, 0] Energy:-2.0 Occurrence:5
Sample:[0, 0, 1, 1] Energy:-2.0 Occurrence:2
Sample:[1, 1, 0, 0] Energy:-2.0 Occurrence:6
Sample:[0, 1, 0, 1] Energy:-2.0 Occurrence:10
Sample:[1, 0, 0, 1] Energy:-2.0 Occurrence:1
Sample:[1, 1, 0, 1] Energy:0.0 Occurrence:1

実行結果を見ると、4C1 + 4C2 = 10パターンが見つかっています。

どうしてsamplingと呼ぶの?

量子アニーリングって、ほぼ絶対零度の状態からわずかに温度を上げてゆっくり冷やすから「アニーリング」なのですが、では最適化のコマンドが「anneal」ではなく「sample」なのはなぜでしょうか。MDR社の湊社長に伺ったところ、

“理想的な”量子コンピュータが存在すれば、1回のアニーリングで最適解が求まる。

しかし、実際には次の理由によりノイズが加わり、不確実となる。

  • アニーリング時間が無限ではなく有限
  • 電磁波や振動の影響を受ける

そこで、不確実なアニーリングを繰り返し行い、統計的に「まあこれが最適解やろ」な解を探す作業を行う。何回か取り出して元の姿を推測するから「サンプリング」と呼ぶ。

まとめ

あちこち文献を見ましたが、数式を使わずに説明するという無謀なことをやっている方はいるのでしょうか。これで最低限のD-waveの使い方が分かりました。

次の記事では、いよいよD-waveでパズルを解いてみます。

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